手数料について
行政書士はサービス業であり、取り扱うモノがありませんし、仕入もありません。
つまり、原価がわかりにくいのです。
最初の頃は、悩みました。行政書士会連合会のほうで報酬額の統計を出していますが、実際に業務をやってみるとそのギャップに驚くこともあります。
統計はあくまで統計であり、依頼人様それぞれの抱えている事情によって揃える資料、かかる時間や手間が異なってきます。
開業当初はそのあたりのことをよく把握できていなかったこともあり、いたずらに安く受注していたり、逆にちょっと高めに受けていたこともありました。
では、高い、安いの基準はどこにあるのか?といえば、大きな要素に時間があります。
手続きによっては何度も役所との調整が必要になったり、その分時間もかかったりもします。
ただし、これだけではありません。
もう一つの大きな要素として、責任があります。
許認可業務は、我々行政書士の判断で進めていきます。
その判断が狂えば、許可が下りるのに予想を超えて時間がかかったり、最悪の場合、許認可が下りないこともあります。
これは依頼主にとっては死活問題になりえます。
重要な契約を控えての許認可手続きなんてものも多々ありますから、こちらの過失で大きな損害を与えてしまえば・・・。
そう考えるといたずらに安く設定などできない事情もあります。
もちろん、逆に大きな利益を得ようとしても、その疾しい気持ちが信用の失墜をもたらします。
時間と責任。
この2大要素を深く勘案し、いかに適正な金額を提示できるのか?が、信用の基礎になるのだと考えます。
実際に業務に取り掛かる前に私は必ず見積金額を提示するようにしています。
明瞭会計は、依頼主様にも安心感を与えるでしょうしトラブルの未然防止にもつながるからです。
手数料が高くなればなるほど依頼主様には伝えにくいものです。
しかし、自分自身のしっかりした考えと経験に基づく判断、責任感があればこそ、言いにくいことを伝える必要性も痛感するようになります。
何をもって適正な価格と言えるのか?
すぐに明確な答えは出しにくいところですが、業務を真剣に行っていく中でその答えを出していきたいものです。