車庫の要件

車庫の要件 5つのポイント

1.車庫の地目が駐車場に適していること(農地ではないこと)

2.車庫の前面道路幅員が十分であること

3.営業所等に隣接していない場合、車庫と営業所等との距離に注意

4.車庫の収容面積が十分であること

5.所有権や2年以上の賃貸借権など使用権原を有していること

車庫についても様々な制限があります。上記に挙げたポイントはすべて事前調査及び精査が必要です。

各要件の確認を怠れば物件の売買契約や賃貸借契約が全くの無駄になってしまうところですから、事前に要点を確認しておきたいところです。

なお、車庫選びの際に注意しなければいけない事柄の詳細について、以下述べていきます。

該当する土地が、そもそも車庫に適しているのか?

駐車場として希望する土地についてまず調べることは、その土地が駐車場として利用可能かどうか?です。

具体的には、最初に土地登記事項証明書(法務局で取得可)に記載されている地目を確認します。

地目が畑や田となっていれば、原則としてその土地は、車庫として利用できません。適法に利用するには、農地転用をする必要があります。

ただし、農地転用にはかなりの時間を要するため、実際には他の土地を探してもらうケースになることが多いです。

契約書を鵜呑みにしない

賃貸借契約書などでは雑種地と書かれていても、登記事項証明書では地目が畑となっていたりする場合があります。

不動産屋さんが介在していない場合などでは、貸主さんが勘違いして農地を違法に契約しているケースもありえます。

契約書のなどの私文書の場合、必ず登記事項証明書を法務局より取り寄せて土地の地目を確認したほうがよいです。

後々になって農地であることが発覚すれば、許可が下りず、大きな損失につながりかねません。

事前調査の段階で正確な実情を把握していくことが何より重要です。

現況を役所で必ず確認

法務局で登記事項証明書を取り寄せたところ、地目が田や畑となっていた場合、それですべての確認が完了したことにはなりません。

というのも、現況を雑種地や宅地としておきながら地目変更の登記をしていないケースもあるためです。

地目が農地だった場合、そこで終わりにせず、念のため市区町村の農業委員会等で現況も確認したほうがよいでしょう。

現況が雑種地等であれば駐車場として利用可能となりますので、確かめる価値はあります。

車庫の前面道路幅員に注意

車庫の前面道路にも貨物自動車の安全な出入りを行うための規制がかけられています。また、前面道路の幅員証明書は、許可申請の際に添付が求められます。

ここで注意しなければいけないのは、車幅に対し車庫の前面道路に一定の幅員がない場合、許可が下りないという点です。

なお、道路幅員が6.5m以上あれば概ね大丈夫です。

細かい点については、車両制限令によって複雑な規制となっていますので、わかりやすくまとめられた下表をご覧ください。

車両制限令による幅員制限(車幅2.5mで算出)

駐車場が市街地区域内か、市街地区域外かによって求められる前面道路の幅員が異なります。

市街地区域内の場合・・・市街化区域内とほぼ同じ概念。詳細は、管轄市区町村へ確認を。
市街地区域内の道路     車道幅員 総幅員
一般市街地道路 通常道路の場合 5.5m 6.5m
一方通行、交通量稀少の指定道路 3.0m 4.0m
駅前・繁華街道路 通常道路の場合 6.5m 7.5m
一方通行、交通量稀少の指定道路 3.5m 4.5m
市街地区域外の場合・・・市街化調整区域とほぼ同じ概念。詳細は、管轄市区町村へ確認を。
市街地区域外の道路 車道幅員 総幅員
一般市街地道路 通常道路の場合 5.5m 6.5m
一方通行、交通量稀少の指定道路 3.0m 4.0m
駅前・繁華街道路 通常道路の場合 6.5m 7.5m
一方通行、交通量稀少の指定道路 3.5m 4.5m

上記の幅員以上あるかどうか?を各市区町村でまず確認してみましょう。

なお、国道の場合には幅員が確保されているため、幅員証明書を添付する必要がありません。

営業所から車庫までの距離は?

原則として営業所で点呼を行い、隣接する車庫で運行開始の準備をしていくのが理想です。

しかし、こうした運送業に適した物件を見つけられるのはむしろ稀です。

そこで営業所から多少離れた場所に車庫をもうけてもいいという緩和がなされています。

関東運輸局管内で言えば、直線距離で東京23区及び横浜市、川崎市については20キロメートル以内、その他の場所では10キロメートル以内とされています。

ゆとりをもってこの距離内に収まる物件を選ぶのがよいでしょう。

車庫の収容面積について

運送業に利用する車両すべてが駐車できる収容スペースが、車庫には求められます。

そして、車両と車庫および車両と車両との間に50cm以上の間隔を空けることが義務づけられてもいます。

置くスペースがギリギリの場合、別途車両配置図の添付が資料として求められます。

なお、複数の駐車場に駐車することも可能ですが、この場合には、先ほど述べた営業所から車庫までの距離に注意する必要があります。

参考までに種類別に求められる面積を記載しておきます。

積載トン数 1両あたり必要収容能力
7.5トンを超えるもの 38㎡
2.0トンロング~7.5トンまで 28㎡
2.0トンロング 20㎡
2.0トンまで 15㎡