営業所、休憩睡眠施設の要件

営業所、休憩睡眠施設(以下、営業所等と表記)についても様々な規制があります。

以下、4つにポイントを絞ってみました。また、特に外せないポイント詳細についても後述しましたので参考にしてみてください。

営業所、休憩睡眠施設の4つのポイント

1.物件所在地が要件を満たす用途地域内にあること

2.所有権や2年以上の賃貸借権など使用権原を有していること

3.建築物としての適法性、用途を確認すること

4.賃貸借契約の場合、契約書上の使用用途について確認すること

 
上記4つのポイントの中で特に重要なのが、1です。
 
2~4ももちろん許可要件としては大切ですが、1の要件を満たせなければすべてが水の泡となってしまいます。
 
営業所等の事前調査では、1を最初に確認していきます。
 
 
★営業所等がどこにあるか?

最も重要なのが、営業所等の場所です。都市計画法によって用途地域というものが決まっています。

単純に述べれば、下表の場所以外では、原則として一般貨物自動車運送事業の営業所としての利用ができないことになっています。

◆営業所等として利用できる用途地域

用途地域 面積等の制限
第二種中高層住居専用地域 2階以下 床面積1500㎡以下のもの
第一種住居地域 床面積3000㎡以下のもの
第二種住居地域 床面積3000㎡以下及びそれを超えるものも可
準住居地域 同上
近隣商業地域 同上
商業地域 同上
準工業地域 同上
工業地域 同上
工業専用地域 同上

申請に入る前、あるいは物件の契約前の調査段階で営業所等の場所が、どの用途地域に該当するか?を市町村に問い合わせることが、非常に重要です。

というのも、用途地域については、市区町村の担当課に本審査時に運輸局からの文書照会があるためです。

ここで営業所等として利用することが不適とされてしまうと許可が下りなくなってしまいます。

ただし、あくまで上記の規制は原則であり、低層住居専用地域や市街化調整区域にあるからといって完全に不可とは限りません。

いずれにしても、市区町村の担当課に事前調査が必要となる事柄です。入念な調査が求められます。

★営業所等の規模は?

営業所等の規模については、業務遂行上支障のない規模であれば問題ありません。

ですから、事務作業に支障が出るほど極度に狭い場所などは、営業所等として不適切とされます。

また、睡眠をとらせる必要のある営業形態の場合、睡眠施設として乗務員一人あたり2.5㎡以上の面積が求められています。

したがって、睡眠施設を設ける場合には、一定規模以上の面積が求められる点に注意が必要です(休憩施設のみの場合には上記の面積規制なし)。

なお、令和元年11月からの改正法施行により営業所等の写真の添付が義務付けられました。

諸事情により備品類がそろわない場合、準備ができ次第、事後的に写真が求められます。

写真におさめる営業、休憩・睡眠に必要な備品類等の設置にも気を配る必要があります。

★建築物の用途や適法性にも注意

建築物については、用途地域と異なり運輸局から市区町村の担当課への照会はありません。

ですが、該当する建築物が、営業所等に適しているか否か?を建築確認済証等の公的証明書類で事前確認しておく必要があります。

建築物の用途のみならず適法性も認められない場合、当然ですが市区町村の担当課が営業所等としての利用を認めることはありません。

また、その事実を文書照会はなくとも、運輸局が把握すれば、許可もおりません。本審査の際には、この点についても確認されます。

ですから、こうした公的証明書類がない建築物の場合は、要注意です。

たとえあったにしても、念のため、市区町村の担当課にも営業所等としての可否を確認しておく必要もあります。

先ほども申し上げたように運輸局からの市区町村への照会はありませんが、建築基準法上問題ないかどうか?の確認はされます。

ですから、用途地域同様に建築物についても市区町村の担当課への事前確認が必須となります。

賃貸借契約の場合の注意点

営業所等を賃貸借契約している場合には、契約書に記載されている契約期間と用途に注意を要します。

契約期間は、原則として2年以上とされています。ただし、2年に満たない場合であっても自動更新の定めがあれば、大丈夫です。

また、用途ですが、事務所や休憩施設としての利用が可能かどうか?が契約書に明記されていれば問題ありません。

居住用とされている場合には、原則として事務所として利用不可とみなされます。

この場合には、大家さんに事前確認をとる必要があります。

場合によっては、事務所利用についての大家さんからの承諾書を求められるケースもあります。

本審査の段階では、賃貸借契約書などの添付書類は入念にかなり細かくチェックされます。

補正の段階であわてないためにも契約書の精査と事前確認を外さないことが、肝といえます。